ブログ 人形劇ばなし
◆初記載:04年10月16日
◆文責:藤森 知子
【イラストについて】                   
頭巾をかぶって人形を操る姿は,「人形劇・トコッロ」のお芝居「くぐつまわしでござーい」をまねしてかきました。「傀儡子(くぐつし)」は,人形を舞わせる芸人のことだそうです。


とも爺   「<人形劇の図書館>といったら,なにを連想するかのう?」
ブー    「えっとね,図書館でやってる人形劇のこと?」
とも爺   「いやいや,人形劇の本がいっぱいある<図書館>のことやがな。」
ブー    「なーんだ<図書館>なら知ってるよ。」
とも爺   「そうかそうか。で,どんな本があると思うかのう?」
ブー    「そりゃあ,決まってるよ。人形劇の本。」
ワニ    「そうそう。」
とも爺   「いやいや,人形劇は人形劇でも,どんな本があるかと聞いとるんじゃ。」
ブー    「はて?」
ワニ    「さて?」
           ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

…とまあそんなわけでして。(どんなわけじゃ?)
なにやらあやしい口調になってまいりましたので,お芝居仕立てはこれくらいにいたします。

では,その「人形劇の図書館」。読者のみなさんは,どんなところとお思いだろうか。

じつはこの夏(04年8月1日)。私は,その「人形劇の図書館」というところに,初めて行って来たのです。
所在地は,どうぞ下の地図をごらんください。

人形劇の図書館
住所  滋賀県大津市坂本8−22−15
     人形劇の図書館
電話  077−578−5455
FAX   077−578−5662
E-mailはこちらへ


ご利用のご案内
おいでになるときは,どうぞご連絡をなさってみてくださいませ。
人形劇・トロッコの上演でお留守のときもございます。


*もう少し詳しい地図はこちらをどうぞ

さてさて,その「人形劇の図書館」。そこには,ほんとに本がいっぱい。本は本棚からあふれ,床にも積まれて,ぎっしりと山脈になっていたのです。
その数,だいたい一万冊ぐらいとのこと。それが,ぜーーーんぶ,人形劇に関する本。

それでは,人形劇に関する本といっても,いったいどんな本があるんでしょう。
そこで,どうぞこちらの図書館の「蔵書分類」をご覧ください。これでだいたいどんな本があるのかご想像くださいませ。(下の絵とコメントは,ワニとブタで解説しているつもりです。


人形劇の図書館 蔵書分類
00 人形劇総論
01 現代人形劇
02 人形劇史
03 海外の人形劇
04 UNIMA(ウニマと読む。
   国際人形劇連盟)
05 人形劇脚本集
●海外の人形劇
日本とちがうかな?おなじかな?
上の劇人形はシチリアの様式とのこと。
上から棒や糸で人形を操作。鎧や刀は金属でできている。格闘シーンが迫力満点。
●人形・玩具
おもちゃも劇に。いろいろ遊べそうですぞ。
グリコのおまけみたいに本の一部がケースになってて,本物の人形が入ってる海外の本もあり。
とってもかわいくて,なでなで…。
06 影絵・紙芝居・ペープサート
07 腹話術
08 からくり
09 伝統人形劇
10 文楽・浄瑠璃
11 児童劇
12 こども・あそび
13 演劇・映画
14  仮面劇・獅子舞
15 大道芸・見せ物・大衆芸能
16 パントマイム・サーカス
17 民族芸能
18 博覧会・遊園地
19 人形・玩具
20 その他・一般/以上
●大道芸,パントマイム
皿回しの芝居は中国などで上演されるようです。
ブー「こんなに本があって床は大丈夫
   かいな。」
これこれイカン。図書館ではしーっ…。
人形劇に関する事柄というと,ほんにまあいろんな分野があると思いました。
ながめていると,なんでも人形劇になりそうだなあという気がしてきます。

■図書館の設立者は人形劇・トロッコ

こんなふうにもりだくさんの「人形劇の図書館」。ではでは,いったいどんな方がこの図書館をつくられたのかといいますと…。
「人形劇・トロッコ」という専門の人形劇団をなさっている,潟見 英明(かたみ えいめい)さんと,井上 文子(いのうえ ふみこ)さんのお二人です。

1991年に「人形劇・トロッコ」の劇団創立20年を記念して設立。
1995年から一般公開をスタート。
たくさんの本は,日本や海外で人形劇の上演をなさりながら,だんだんに集めてこられたものだそうです。

日経新聞に,お二人がどんなふうにして本を探しておられるのかについてかかれている記事がありますのでご紹介します。
(1996年10月7日月曜の記事:タイトル「人形劇図書館こつこつ8000冊」より抜粋)

「…公演で他県へ行くと,必ず公立図書館へ足を運んでいるが,人形劇の本が十冊以上ある図書館は珍しい。一番多い長野県飯田市の市立図書館でも数百冊。(後略)」。

うーむ。劇団が公演先で楽しみにしていることといえば, 当地のおいしいお食事処や観光だと思ってましたが(それは私のこと),トロッコさんの場合は『本』。
それにしても,人形劇の本はご近所でほとんど見かけないからないものだと思っていましたが,図書館に伺って初めて,じつはこんなにもたくさん出版されていたのだと知りました。


新作「ゆうびんうさぎとおおかみがぶり」
原作:木暮 正夫/脚本・演出:潟見 英明
美術:井上 文子/音楽・松井 恵子

写真提供:人形劇・トロッコ
■資料から発見

ところで,この新聞記事には,他にもこんなことが書かれていました。(以下要約。)
 人形劇の脚本に「なかよし」というのがあります。多くの人形劇団で上演され,とても親しまれている劇。しかし,この劇の原作者がだれだかずっとわからないままでした。ところがなんと,トロッコさんが集めている資料から,この原作者が判明したんだそうです。その人は,三木 信一さん(元園田学園女子大教授,京都市在住)という方だったのです。

…集めた資料から,ときにはこんな人形劇史上の発見もあったりするとのこと。ドキドキしちゃいます。


左のイラスト:人形劇・トロッコのパンフレットより藤森知子が模写。カバンの中の人形の絵もカットに使わせていただきました。


「流行大人形(はやりおおにんぎょう)」 歌川歌重の錦絵を藤森知子が模写

    ■「流行大人形(はやりおおにんぎょう)」 歌川歌重の錦絵を藤森知子が模写■
 上図の原画は,日本芸術文化振興会のホームぺージ「文化デジタルライブラリー」でも拝見し,参照させていただきました。同ホームページによれば,刻印は,1968年。図録分類は風刺絵で,太夫、三味線、人形等の人名も架空のものである,とのことです。
■人形劇の錦絵
潟見さんから,とっておきのお品を見せていただきました。

それは,本物の錦絵。特注の桐の箱に入っているというお品物。まるで,テレビの「なんでも鑑定団」とかいう番組のお宝拝見みたいに緊張しました。

錦絵は何枚もあり,碁盤の上で人形を操る姿の絵やら,人形浄瑠璃の絵などもありました。

左の絵は,浄瑠璃を見ている観客の姿がおもしろいと思いました。絵にセリフみたいな文字がところどころにあり,人々がヤイヤイいいながら楽しんでいるふうで,なんだかにやにやしてしまいます。

(文字は,昔の仮名使い。読めたらもっと楽しめるんだろうなあ…。)

「風刺絵」とのことですが,今の観劇風景と似ているでしょうか,どうでしょう。


■ 古本即売展

長野県飯田市で,「人形劇フェスタ」という人形劇のお祭りのような催しが,毎年8月に開かれています。そこには,たくさんのプロやアマチュアの劇団が集まり,市内の各所で上演。また観劇者も大勢。海外の方や学生の方などもおられ,それはそれはとても賑やかです。
朝ご飯を食べたら,あとはずーっと夜中まで人形劇三昧という,「人形劇大好き」にはこたえられんお楽しみ事であります。
しかし,プログラムは,いくつもの劇団が同時上演なのでとうてい全部は見られません。そうなると,どれを見に行くかでスリル満点。すっごくたのしいお芝居に出会えることもあれば,観劇料を払ってついついお昼寝してしまうこともあるのでした。zzzz…

 さて,この人形劇フェスタでは,上演だけでなく,じつは人形劇の図書館の「古本即売展」も開かれるのです。そこで私が「しめしめ」と手に入れることができたのが,このあとにご紹介する本です。
その中に,こんなおもしろい絵を見つけました。

『THE PUNCH&JUDY SHOW』 
History,Tradition and Meaning
著者:Robert Leach

出版社:
The University of Georgia Press
(1985年発行)
絵/Isaac Cruikshank:Punch's Puppet Show, 1795(模写/藤森 知子) 

絵/Isaac Cruikshank:Punch's Puppet Show, 1795 
(本文38ページの図版21を藤森 知子が模写)
本には,この絵についてこんな説明文がありました。
(以下は,本文を藤森 行人さんにおおよそ翻訳してもらったもの。直訳のままでごめんなさい。かっこ内は知子。)

ストリートオルガンで見せ物の伴奏をしている男がいます。
その間に,若い女性が帽子で合法的に集金をして,スリで非合法的に集金をしました。
後ろにとがった帽子をかぶったパンチ(右上でお芝居をしている人形)は,襟をくってローブデコルテの礼装をしたジュディ(パンチとむかいあってる人形)が,手をひろげて舞台をひとりじめしている姿をみています。

この「スリで非合法的に集金」のシーン。笑っちゃいました。
また,まんなかあたりで籠を頭にのせている人がいると思うんですが,そのかごの中身はパンでしょうかねえ。さらに,それをつまみ食いしている犬もいます。犬は他にも,左下で桶で水か何かを飲んでいたり,オルガン弾きの足元にいたり。
どの犬もみんな着飾ってる! この時代は,犬もおしゃれをしていたんですね。

ちょっと見えにくいと思いますが,本の表紙も街頭で「パンチ劇」を見ている人々の絵です。お客さんは大人も大勢。通りすがりらしい馬車に乗っている人,兵隊,紳士,ご婦人。本文の別の絵の中には,子どもが,舞台の裾をまくって舞台裏をのぞき見ている姿もあり,古今東西変わらんなあと思いました。 

なお,この絵の「非合法的シーン」については,別紙『パンチとジュディ』プーク人形劇場企画<世界の人形劇シリーズ>bP(1973年刊)の20ページで,三橋 雄一さんが,たのしい読み物にしておられます。


『The World of PUPPETS』(1975年発行)
著者:Ren'e Simmen
出版社: PHAIDON PRESS LIMITED
■ちょこっとお遊びコーナーです
下の絵がお芝居をする人形だとします。人形は片手かまたは両手で操作することにしましょう。
そのとき,手は人形の中でどんなふうに動かしているでしょうか?

マウスを絵の上におくと,人形の中が見えるはずです。ためしにちょっとのぞいてみてください。
なんだか,服を脱がしてる気分だったりして…。キャッ!


<ヒント>
人形の頭や手などに,動いているという印「こういうの→))」があると思います。その部分が動くようにしたいわけです。
<解説>
クリックしたときに出てくる人形の絵は,上の本に掲載されていた図(119ページ)を元に,模写したものです。その図を見て,上のようなレントゲンみたいなお遊びを思いつきました。
それにしても,こういう人形の構造図を見ると,人形を作ろうというときに,なかなか役に立ってうれしいです。鳥の人形の中の手がこんなふうになっていとは想像しにくかったなあ。
みなさんは,簡単でしたでしょうか。どうでしょう。



◆さてさて,この次「人形劇の図書館」に行ったら,どんな本に出会えるんでありましょうか。
はたまた飯田人形劇フェスタの「古本即売展」。どんな掘り出しものがあるかしらん♪

◆もしや,読者のみなさんのなかには,ご自分で海外まで行き,超魅力的な$レアもののご本ををお買い付けなさる方がおられるかもしれませんね。(そしたら,こっそり私にもお安くおすそわけするべし。なーんてね。)

◆それにしても,普通の本屋さんや図書館にはなくても,「人形劇の図書館」に行けば,本を手にすることができると思うと,ホーッと安堵の気持ちがします。とってもうれしい。
しかも,潟見さんと井上さんは専門の人形劇団の方ですので,本と合わせて実際の人形劇についてもお聞きできるのです。

◆人形劇の本から人形劇のことを知ることができます。そして,今度はその人形劇から世界を見ていくような,その時代の社会のようすとか,歴史とか…そんな「何か」をみつけることができるかもしれません。そうすると,うんとたのしさがひろがりそうに思うのですが,どうでしょう。

◆ところで,人形劇の本をお読みになる方がそう多くはないと聞きます。
いやあ,そもそも本を読むのが苦手ということもござりましょう。(ハイ,私です。)
ということは,まだ知られていないことがたくさん残っているということでもあるでしょう。
ということは,ここは一つ,新しいケンキュウのチャンスってことかもしれないということでしょうか。

◆今後は,「人形劇の図書館」さんの本の中から,何かお知らせできるようなたのしいことを,ゆっくり探していきたいなあと思っています。

◆末筆になりますが,模写させてもらった元の絵はずっと精密です。きちんと再現できなくてすみません。おおざっぱな雰囲気だけでもお伝えできたらと思っておりますが,どうでしょう。ドキドキ。
そして,ここまでの長い記事をお読み頂きありがとうございます。m(_ _)mペコリ。
(04年9月30日記:藤森 知子)


「トロッコニュース」について
人形劇・トロッコ/人形劇の図書館さんが作っておられるパンフレット「トロッコニュース 0410」が発行されました。
(2004年10月25日発行/A4版2ページ,人形などのカラー写真入り)
それには,つい最近,潟見さんが,ドイツ,プラハ,ロンドンに行ってこられ,ご覧になった現在の人形劇の状況が記されています。
こちらも合わせてお読みいただいたら,もしかすると,社会情勢みたいなこともみえてくるように思うのですがどうでしょう。
★★★小見出し・ちょっぴりご紹介★★★
● ドイツ・プラハ・ロンドンの人形劇事情 その1
---今から百年ぐらい前。こん棒をふりまわしたり金切り声をはりあげて観客を大いに沸かせたパンチの人形劇は,人だかりができる盛況ぶりだったようです。(たぶん上記の絵のような感じでしょうか。)では,現在はどうでしょう?
当時のように繁盛しているでしょうか。
いやそれ以上に大繁盛ってっとこでしょうか。
反対に,当時よりは少ない賑わいでしょうか。
または,ほとんど上演されなくなっているのでしょうか。
人形劇の上演の様子を調べると,社会の動きが見えてくるかも。

● 人形劇の図書館が素敵なホームページで紹介されています!!!!

---なにやら恐縮しますが,当ホームページのことが載っています。

● 旅のトピックス
---潟見さんは,どんなふうにして本を集めておられるのでしょう。
どれぐらいの量の本を,どうやって運ぶのでしょうか。 
旅のエピソードとともに,潟見さんのお気持ちも書かれています。

● 人形劇の図書館の開館日について
---本文に「人形劇の図書館をご利用いただくときは,なんでもいいのですが,例えば○○のことを知りたい,という具体的なことがあればより楽しく利用できます」とあります。
さて,どんなことを質問なさる方がいらっしゃるのでしょう。
もしかしたら,意外な観点から本をお探しになる方もおられたりして…。
★★★「トロッコニュース 0410」をお送りいたします★★★
なお,この「トロッコニュース 0410」を読んでみたいなあとお思いになられた方は,私(藤森 知子)宛に,メールをいただければ,当方よりメールに添付してお送りいたします。お送りするファイルは,PDFのファイルで,容量はだいたい13MB程度です。
藤森のメール宛先→   --------(追記:2004年11月9日)

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